「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産へ
ユネスコの諮問機関イコモスが登録を勧告
文化庁は26日、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産に登録するようユネスコに勧告したと発表した。6月15日からカタールのドーハで開かれる世界遺産委員会で、勧告通り決まる見通し。
正式決定すれば、国内の世界文化遺産は昨年登録された富士山に続き14件目、自然遺産を含めると18件目。近代の「産業遺産」が登録されるのは国内初となる。
富岡製糸場は、1872年に明治政府が西洋の技術を導入して建設した当時世界最大規模の器械製糸場で、現在もれんが造りの繭倉庫などがほぼ当時のままの姿で残る。遺産は養蚕に関する3施設を加えた四つの史跡で構成する。
文化庁によると、勧告は「養蚕から製糸までの生産システムを作り上げ、生糸産業の革新に決定的役割を果たした。日本が近代工業化社会に仲間入りする鍵となった」と高く評価。大量生産で生糸の普及に貢献したことや、進んだ技術を海外に広めた点も価値が高く、保存状態も良好とした。今後の管理などへの助言や指摘はあったが、登録に当たっての条件は付されなかった。