サケやウニ、ロシアへの制裁で食卓から遠のく?
価格上昇の懸念「入荷止まれば大変」、農水省は動向を注視
ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する経済制裁の影響で、水産物の価格上昇が懸念されている。日本にとってロシアは第3位の水産物輸入先で、紅ザケの輸入シェアは8割ほどを占める。ウニはもともと、昨年発生した赤潮の影響で北海道産が品薄。さらに、原油価格の高騰分が販売価格に転嫁されれば、食卓に上る機会はますます遠のきそうだ。
農林水産省によると、2021年のロシアからの水産物輸入額は全体の8・6%に当たる1381億円。このうち、カニは379億円、ウニは97億円に上り、いずれもロシア産の割合が5割前後と最も大きい。紅ザケを含むサケ・マスは199億円となり、シェア1割近くで3位だった。
北方四島からロシア産ウニを仕入れている卸売会社は「今が旬なのに、制裁で入荷が止まれば大変だ」と困惑する。春からは岩手、宮城県産が出回り始めるが、制裁に伴う原油価格高騰で輸送代などに影響が出ることも水産物が値上がりする要因になりそうで、「さらに値段が上がって食べてもらえなくなる」と心配している。
金融制裁を受けて一部の地方銀行はロシア向け送金の引き受けをいったん停止。水産物輸入の決済にも影響しかねず、農水省は「動向を注視する」と警戒している。