東証再編で各社が選択 最上位か身の丈か
各社の姿勢を映し出す、問われる価値向上への不断の努力
東証の市場再編をめぐり、企業は対応に追われた。1部より上場基準が厳しい最上位のプライム市場に食い込もうと奔走する動きがある一方、身の丈を考え中堅向けのスタンダード市場への移行を決める企業もあり、各社の姿勢を映し出した。ただ、どの市場を選択しても、企業価値向上へ不断の努力が問われる。
港湾事業を担う東洋埠頭は流通株時価総額が64億円余り(6月末時点)とプライム基準の100億円に届かなかった。設備投資拡充などを通じ、時価総額を増やす計画書を東証に提出した。計画最終年は2029年3月期と新市場スタートから7年も先。それでも同社は「プライム上場は信用力に直結する」とこだわる。
食用ドレッシングの製造販売やイタリア料理店を手掛けるピエトロも、流通株時価総額が49億円(同)だが、プライム移行を望む。米国でのドレッシング事業強化などで、26年3月期までの基準クリアを狙う。同社は「社員にとっての挑戦だ」と位置付け、社を挙げて取り組む構えだ。
中古車販売のケーユーホールディングスは、移行先をプライムと発表した後、スタンダードに変更。株式売買代金などが基準に届いておらず、「自社努力で高めるのは難しい」と判断した。
岡山県の第二地方銀行、トマト銀行もスタンダードに移る。東証はプライムを「グローバル企業中心の市場」と打ち出しており、同行は「取引先企業も個人客も『地元とともに』の業態」と自己分析した結果、「自然体で決断した」と説明する。