豪、1年9か月ぶりに日本人の入国再開
旅行業界は需要回復期待、一部の都市では自主隔離が必要
オーストラリア政府は15日、新型コロナウイルス感染防止のために原則禁止していた日本人の入国を約1年9カ月ぶりに再開した。旅行業界は日本人の渡航需要の回復を期待している。
シドニー空港の国際線ターミナルには15日早朝、日航機が到着した。埼玉県在住の井上康子さん(70)は、豪州で1月に生まれた孫に会うために来訪。「ずっと心待ちにしていました」と頬を緩めた。
豪州は15日にワクチン接種の完了などを条件に、日韓の渡航者、多くの国からの留学生や技能労働者らの入国を再開した。ただ、新たな変異株「オミクロン株」の流行を受けて、シドニーを含む一部の都市では入国後に72時間の自主隔離が必要となる。
豪州はコロナ禍を受けて昨年3月に事実上の鎖国に踏み切った。豪統計局によれば、入国者数は同年1月の約226万人から、今年10月には約1万5000人に減少した。豪州は「コロナとの共存」に向け、ワクチン接種を推進。11月には自国民の海外渡航を解禁した。
こうした動きを現地の日系旅行会社は歓迎している。豪州現地法人で社長を務める田口久喜さん(60)は、英語圏で治安が良い豪州は日本の高校生を中心に人気があり、コロナ禍前には若者らへのカウンセリング事業が収入全体の約3割を占めていたと説明。「留学生や(滞在中に一定の就労を認める)ワーキングホリデー利用者らの増加に期待している」と話した。
一方、豪州人の間では日本のスキー場は人気が高い。旅行業界では日本が実施している入国規制の緩和を望む声が出ている。(シドニー時事)