陸上自衛隊、米海兵隊のロケット砲を空輸


南西諸島の離島防衛見据え共同訓練、沖縄から八戸に輸送

陸上自衛隊、米海兵隊のロケット砲を空輸

沖縄の嘉手納基地から空輸された米海兵隊の高機動ロケット砲システムHIMARS=7日午後、青森県八戸市(森啓造撮影)

 陸上自衛隊は7日、米海兵隊との共同大規模訓練「レゾリュート・ドラゴン21」の一環で、米軍の高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)を沖縄の基地から空路で八戸駐屯地(青森県)まで運ぶ様子を公開した。国内の訓練でハイマースを空輸展開するのは初。南西諸島の離島防衛などを想定し、陸自の地対艦誘導弾(SSM)との連携体制の迅速な構築が目的とみられる。

 訓練は海兵隊の新たな作戦構想「機動展開前進基地作戦」(EABO)と陸自の領域横断作戦を踏まえた日米連携の向上が主眼。EABOは小規模な部隊を島しょ部に分散して速やかに展開し、対艦・対空ミサイルなどによる攻撃拠点を確保する構想で、陸自がEABOに基づいた訓練を行うのも初めて。

 この日は、米軍嘉手納基地から米空軍のC130輸送機が約4時間かけてハイマースと海兵隊員を運び、陸自のSSM部隊と合流した。8日以降、共有した情報を基に射撃目標を調整する対艦戦闘訓練などを行う。

 レゾリュート・ドラゴンは陸自、海兵隊計約4000人が参加する最大規模の訓練で、初めて東北方面隊が参加した。陸自は今年30年ぶりに行った「陸上自衛隊演習」でも、南西諸島有事に備えて、九州の演習場に各地から部隊を移動させる訓練を実施。移動した部隊が海兵隊とすぐ連携できるよう、他地方でも同様の訓練を検討している。