岸田首相の車座対話、テーマを広げ実施14回
松山市で高校生や観光業者と対話、「聞く力」をアピール
岸田文雄首相は20日、松山市を訪れ、高校生、観光業者との車座形式の対話に臨んだ。セールスポイントの「聞く力」をアピールしようと、首相就任以来重ねた車座集会はこれで14回。テーマは広がりを見せ、この日も時折メモを取りながら、駆け足で会場を移動した。
最初に訪れた愛媛県立松山東高校では、タブレット端末を使った授業を視察。「タブレットで勉強や生活は変わったか」と首相が尋ねると、生徒の一人は「1時間で学べる量がものすごく増えた」と応じていた。
首相はこの後、道後温泉の旅館おかみらとも懇談。飲食業関係者から「新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきたので、(需要喚起策)『Go To イート』を再開してほしい」と要望を受けると、熱心に耳を傾けていた。
首相が「聞く力」に目覚めたのは10年以上前。自民党が野党時代に力を入れた離島、山村など地方での対話運動を通じ「聞く力のエネルギーの大きさを痛感した」と後に語っている。
昨年の総裁選で菅義偉前首相に敗れた後も車座対話を重ね、首相周辺は「政治家として手応えをつかんだのではないか」と見る。
もっとも、喫緊の新型コロナ対策を中心に始まった車座集会は農業、飲食業、経済学者らに対象を拡大。「週末はどんどん入れる」(周辺)と過剰気味にも映り、聞き取った声をどう政策として実現できるかは不透明だ。