インド首都、大気汚染でロックダウンの可能性も
登校停止と車通行規制、停電も増加か、PM2.5が最悪に
インドの首都ニューデリーで、今年も秋になり大気汚染が深刻化している。行政当局は公立学校への登校停止を指示。汚染の一因である粉じんを抑えようと、市内に入るトラックなど自動車の通行を規制し、火力発電所も運転を一部停止した。汚染が改善しない場合、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として取られたロックダウン(都市封鎖)実施の可能性もある。
ニューデリーでは11月に入りほぼ連日、在印米大使館による微小粒子状物質PM2・5の観測値が6段階で最悪の「危険」を記録している。インドの医学的権威である全インド医科大のランディープ・グレリア理事長は地元メディアに、大気汚染による呼吸器への負担で「新型コロナ感染が拡大しかねない」と警告した。
首都を管轄するデリー首都圏政府は17日、PM2・5など粉じんを抑えるため、生活必需品を運ぶ目的以外のトラック、年式の古い自動車の首都入りを禁じた。13日に出した建設工事差し止めや児童生徒の登校停止、企業の出勤見合わせ検討といった指示の継続も発表した。
首都周辺の11カ所の火力発電所のうち5カ所の運転停止も命じており、停電が増える恐れがある。物流を含め、規制が長期化すれば、コロナ禍から回復傾向だった経済への打撃も懸念される。
首都に隣接するハリヤナ州との境にある検問所では19日、入境を拒否されたトラック多数が停車していた。首都で荷物を積むため、空のトラックを運転してきたヨギンダさん(63)は「どこに行ったらいいのか分からない」と途方に暮れた。「入境許可が出るのを朝3時から夜11時まで待っている」という運転手もいた。
ニューデリーを含むインド北部は例年11月ごろから、農地での野焼き、ヒンズー教徒の新年祝い「ディワリ」の花火や爆竹などに伴い大気汚染が悪化。強い風が吹かないため、冬の間は汚染物質が滞留する。環境保護団体グリーンピースなどが今年発表した調査では、世界の大気汚染都市ワースト10にはニューデリーなどインド北部9都市が含まれる。(ニューデリー時事)