映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
クレイグ版最後のボンド、原点回帰にふさわしい作品
ボンドは00(ダブルオー)エージェントを退き、ジャマイカで静かに暮らしていた。CIAの旧友フィリックスから誘拐されたロシアの細菌学者を救出してほしいという依頼を受けるが、ボンドは断る。しかし、そのあと車のトラブルに見舞われ、さらに謎の女が現れボンドに「私が今の007よ」と明かし「余計なことをしないように」と牽制(けんせい)して出ていった。翌朝ボンドはフィリックスに連絡をする……。
2006年からダニエル・クレイグが演じてきたジェームズ・ボンド。発表当初は酷評されるがこの役のために鍛え上げられた肉体がパパラッチによる写真で世に広まると風向きが変わる。
イアン・フレミング原作の「カジノ・ロワイヤル」を選んだのも007シリーズの原点回帰にふさわしい作品となった。
それから15年、集大成となる今作もおなじみの秘密兵器やアストン・マーチンDB5などのカーアクション、ダニエル自身による体当たりのアクションも見逃せない。
監督はキャリー・ジョージ・フクナガ。名前からも分かるように日系3世の血を引く。作品中に使用される日本を意識したロケーションや小道具について「単にかっこいいだけでなく、そこに深い意味を持たせることができるから」と語っている。
前作「スペクター」に続きマドレーヌ・スワン役にレア・セドゥ、テロリストのリーダー役には『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役で第91回アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したラミ・マレックが演じている。また、クレイグと『ナイブズ・アウト』で共演したアナ・デ・アルマスがCIAの新人エージェント役で登場。キュートで明るくも美しいアクションを披露している。東宝東和配給、現在全国公開中。(森 啓造)