男子滑降座位で狩野亮が金、前半抑え後半で逆転
ソチ・パラリンピック日本勢第1号の金メダルを獲得
狙い通りの滑りだった。人さし指を立てて、ストック代わりの「アウトリガー」を付けた右手を突き上げた。アルペンスキー男子座位の狩野が得意の滑降で金メダル。4年前の勝利とはひと味違う手応えをかみしめた。
気温が上がり、雪面が緩んだコースで転倒する選手が続出する中、はやる気持ちを抑えた。「冷静にやろう」。傾斜のきつい前半はスピードを抑え、後半の緩斜面で巻き返すレース運び。序盤の計測地点では0秒5後れを取ったデュエックを、後半で一気に逆転した。
4年前、バンクーバー大会のスーパー大回転で金メダル。しかし、その後は不振に陥り、昨季のW杯は一度も表彰台に立てなかった。それでも、自分を信じてスタイルは変えず、再び体を鍛え直してソチに臨んだ。「今回の金は作り上げて取ったもの。価値が全然違う」と何度もうなずいた。
小学3年生のときに交通事故で車いすの生活になり、「また笑顔になってほしい」と願う両親の勧めでチェアスキーを始めた。「まず両親と妻に会って、やったよと言いたい」。長年自分を支え、この日も観客席で見守った家族に、感謝の気持ちを表した。(ソチ時事)
鈴木猛史、男子滑降座位でびっくりの銅
苦手の滑降で銅メダルを獲得した鈴木は「びっくりしている。ビリ争いだと思っていた」。スキー操作が難しい粗い雪に加えて、難しいコースが設定された今大会。持ち味の精度の高いターンで、上位に駆け上がった。
小学生のときに交通事故で両足を失い、すぐにチェアスキーを始めて力をつけた。3度目のパラリンピックでは、得意の回転で金メダルを狙う。先輩の狩野と表彰台に上がったことを喜び、「このまま波に乗っていきたい」と意気込んだ。(ソチ時事)