「危険」になった好打者、大谷翔平の進化
打率を求めず本塁打を狙う、弾道を上げアーチ量産46本に
米大リーグの本塁打王をシーズン終盤まで争った。エンゼルスの大谷は、日本選手初の快挙こそ逃したものの、夏場までタイトル争いをリードして46本をマーク。メジャー1年目の2018年に記録した自己最多の22本を大きく上回った。
投手として8勝目を挙げた8月18日のタイガース戦。打順1番の大谷は、八回に真ん中付近の変化球をすくい上げるように振った。右翼席に入った打球は推定飛距離約131メートルの大きな40号ソロとなった。
その翌日。タイガースの監督で、19年までエンゼルスと同じア・リーグ西地区のアストロズで指揮を執ったヒンチ氏は、打者・大谷の進化をこう分析した。「彼はどうすればただの『好打者』ではなく、『危険な打者』になれるかを学んだのだと思う」
足が速く、バットコントロールにも優れる大谷は、打球を転がして打率を追い求めることもできたはず。そうした中で本塁打を狙う道を選択した、と敵将はみた。
打撃フォームは、コンタクトが難しい一方で打球に角度がつきやすいアッパースイングに。18年の本塁打は半数以上が中堅から左翼方向への当たりだったが、今季は豪快に右翼へ引っ張る一発が増えた。三振は両リーグで4番目に多い189に上った。しかし今季の大谷は三振について「長打と紙一重の部分はある」と長距離打者らしい答えを口にしていた。
19年のオフには自身の打撃について「(メジャーでも)パワーはある方」と認めていた。同年に手術を受けた左ひざも癒えた今季。その資質を十分に生かし、本塁打を量産した。(ロサンゼルス時事)