モーグルの上村愛子選手、最後は晴れやかに


母圭子さん晴れ姿を見守り、「本当に幸せ」

モーグルの上村愛子選手、最後は晴れやかに

フリースタイルスキー女子モーグルで悲願のメダルにあと一歩届かず、涙を拭うしぐさを見せる上村愛子=8日、ロシア・ソチ(時事)

モーグルの上村愛子選手、最後は晴れやかに

フリースタイルスキー女子モーグルの上村愛子選手の応援に駆け付けた母の圭子さん=8日、ロシア・ソチ(時事)

 8日に行われたソチ五輪のフリースタイルスキー、女子モーグルの上村愛子選手(北野建設)の応援に駆け付けた母圭子さんは、その晴れ姿を目に焼き付けようと、じっと見守っていた。

 結果は前回と同じ4位。5度目の挑戦でもあと一息でメダルを手にできなかった。だが「頑張った姿を見られただけで満足」。大きくうなずくと、力いっぱいの拍手でまな娘の健闘をたたえた。

 上村選手は1998年長野五輪から連続出場。毎回一つずつ順位を上げてきたが、メダルには届いていなかった。なかなか夢を果たせない。もどかしい。胸の内が痛いほど分かる圭子さんは「一つだけでいいので、(順位を)上がらせてあげたい」。祈るような気持ちだった。

 決勝2回目、ぎりぎりの6位で3回目へ進むことが決まると、圭子さんはこみ上げる涙を抑えられなかった。「予選突破で十分。6人に残れただけでいい」

 3回目は目を真っ赤にして見詰めた。最後に登場したハナ・カーニー選手(米国)はミスもあり、その時点で3位だった上村選手のメダル獲得へ期待が膨らんだ。しかし、得点が上回ったカーニー選手が銅メダル。母の悲願もかなわなかった。

 力を出し切った上村選手に手を振り、「よく頑張ったね」と言葉を掛けた。「スキー一筋に頑張ってきた、真面目に生きてきた娘」が誇らしかった。だから「私は本当に幸せです」。娘と同じ晴れやかな笑顔を見せた。(ソチ時事)