豪とNZが首脳会談、対中で足並みの乱れを修正


害を与える経済的威圧をけん制、緊密な協調と協力の継続へ

豪とNZが首脳会談、対中で足並みの乱れを修正

30日、クイーンズタウンを訪れたオーストラリアのモリソン首相(左)とニュージーランド(NZ)のアーダーン首相=NZ政府提供(AFP時事)

 オーストラリアのモリソン首相と隣国ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相は31日、NZ南部の観光地クイーンズタウンで首脳会談を開いた。両国にとって最大の貿易相手国の中国への対応で強気の豪州に対し、弱腰のNZと対照的な姿勢が目立っていたが、会談を通じて足並みの乱れを修正。インド太平洋の安定に向け「緊密な協調と協力を継続する」方針を打ち出した。

 豪州は、新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を求めたことなどで対中関係が悪化した。貿易にも波及し、中国が広範な豪州産品に事実上の貿易制裁を実施。大麦に対する高率関税では豪州が世界貿易機関(WTO)提訴に踏み切った。

 一方、NZは1月に中国との貿易協定を改定するなど関係を強化。豪、NZが参加する英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」に関しても、中国に批判的なことを踏まえNZ側が役割の拡大に消極的な立場を表明し、豪州から弱腰との批判が高まっていた。

 共同声明は中国を念頭に国際貿易での「害を与える経済的威圧」をけん制。南シナ海情勢のほか、香港や新疆ウイグル自治区の状況でも懸念を共有した。アーダーン首相は記者会見で、この日の会談では「貿易問題や人権問題で」豪州とNZに認識の違いはなかったと述べた。

 豪とNZ首脳の対面式の会談は昨年2月末以来、1年3カ月ぶり。新型コロナウイルスの感染封じ込めに成功した両国は今年4月半ばから隔離なしの相互往来を再開し、今回の会談が実現した。(シドニー時事)