昨年1月に国内で初めて確認された新型コロナ…


 昨年1月に国内で初めて確認された新型コロナウイルス感染者の数は69万人を超え、70万人に達しようとしている。当初、通常のインフルエンザと変わらないという見方をする人もいたが、その病理学的、そして社会・経済的な脅威は次元を異にしている。

 回復後も長く後遺症に苦しむ人が多い。2月に開かれた東京都の感染状況についてのモニタリング会議では、発症した人の約7割が何らかの後遺症を経験し、そのうち発症後2カ月では48%、4カ月たっても27%が後遺症を訴えていると報告された。

 症状は、息苦しさ、倦怠(けんたい)感、嗅覚や味覚の障害などさまざまだ。ちなみにこの報告では脱毛も24%に上っている。後遺症に関しては、動悸(どうき)、耳鳴り、睡眠障害なども挙がっている。

 厄介なのは、軽症の患者にも後遺症が残ることだ。若い人は重症化しにくいと言われるが、嗅覚・味覚障害は20代に多いとの報告がある。嗅覚・味覚を失い、人生の楽しみがなくなった感じがするという声には、同情を禁じ得ない。

 重症から軽症まで、これまでに約59万人が退院したり療養を終えたりしているが、今も後遺症に苦しむ人は少なくないと思われる。

 後遺症について、医師たちが異口同音に強調するのは「感染しないことが最も重要」ということ。原因がはっきりせず、治療法も確立されていないからだ。「正しく恐れる」ことがコロナ対策の基本。後遺症の恐ろしさを、特に若い人には知ってほしい。