春を先駆けて告げる花、梅の開花が全国で伝え…


 春を先駆けて告げる花、梅の開花が全国で伝えられている。例年だと、開花に合わせて開かれる「梅まつり」も、新型コロナウイルス禍による緊急事態宣言などの影響で中止になった所が多い。

 梅の名所として有名な茨城県の偕楽園で13日から3月21日まで開催される予定だった「水戸の梅まつり」も、県独自の緊急事態宣言が28日まで延長されるため、開幕を延期した。早々と中止を決めているのは、東京・世田谷区の「せたがや梅まつり」などである。

 角川書店編『今はじめる人のための俳句歳時記』によれば、梅は「中国原産のバラ科の落葉花木。早春、百花にさきがけて咲き、芳香を放つ。桜より古くから親しまれ、万葉の時代には花といえば梅だった。各地に観梅の名所がある」。

 万葉時代から愛されてきた梅は外来の花だが、桜と共に日本を代表する花と言っていい。梅の花と言えば、すぐに連想されるのは学問の神様として知られている菅原道真公。道真公が庭に植えられた梅の木を「東風(こち)吹かば匂ひをこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ」と歌に詠み、その梅が太宰府まで飛んできたという「飛梅」伝説がある。受験シーズンには、道真公が祭られた天満宮に合格祈願をする受験生が押し寄せることでも有名である。

 梅まつりに続いて、日本を代表する春のイベント、桜まつりを中止する所も多い。春の暖かい風が吹いても、花を愛する風流な気分とは縁遠いこの頃が残念である。