内閣府の特別の機関の一つ「日本学術会議」…


 内閣府の特別の機関の一つ「日本学術会議」(梶田隆章会長)は、推薦した新会員候補が任命されなかったことで、理由説明を求める要望書を菅義偉首相に提出した。菅首相は「法に基づいて適切に対応した」としている。

 一般社会では推薦見送りとなれば、推薦人は「はい、そうですか」と引き下がるのが、任命権者との関係からいって普通だ。さすが学者の集まりで、それではプライドが許さないということか。

 同会議をめぐって、気流子はその政治的スタンスに疑問を感じてきた。一例を挙げると、同会議が2017年に出した「軍事研究を行わない」という内容の声明。その発表は、ためにするものだった。

 今日、人工知能(AI)技術一つとっても、先端技術に「これは民生」「これは軍用」という境界線は全くと言っていいほどない。それは使用意図で決まることであって、科学者であれば百も承知のはず。この声明によって、大学が組織として防衛省からの資金は受け取らないという空気をつくってきた。

 しかも、大学当局に研究の資金調達について決定権を持たせる結果となった。これは「学問の自由」に足かせをはめることにほかならない。研究資金の受け取りの可否は研究者個人が判断すべきだ。

 同会議には20年度予算で約10億5000万円が計上されている。独立性は求められるが、まずは国の方針について政府と意見を交わし、技術開発の方向性を確認しなければいけない。