秋に行われる米大統領選挙で民主党の候補に…


 秋に行われる米大統領選挙で民主党の候補に指名されたバイデン前副大統領が、指名受諾演説を行った。15日付小紙が報じたように、バイデン氏に対しては米メディアで認知症の疑いが浮上している。入念に準備をしたこともあるだろうが、25分間行った演説の一部を聞いた限りでは、兆候は感じられなかった。

 米メディアも、これまでにない熱のこもった演説という評価だ。ただ基本的に棒立ちでボディーアクションが少ないのは、77歳という歳(とし)のせいだけではないようにも感じられた。

 それにしてもNHKの「ニュースウオッチ9」で、海野素央明治大学教授が現地から大統領選の鍵は「隠れバイデンが握っている」と述べたのには首を傾げざるを得なかった。

 トランプ大統領が世論調査やメディアの予想に反して、前回の大統領選で当選した要因が「隠れトランプ」の存在であったことはよく知られている。米国のいわゆる「ポリティカル・コレクトネス」に呪縛されたリベラルな風潮やマスメディアを憚(はばか)って、本音ではトランプ氏支持なのに世論調査などで表明しない人が多かった。

 それに対して、民主党支持だがバイデン氏に物足りなさを感じている人々はいても、バイデン氏への支持を隠す必要は特にないはずだ。「隠れバイデン」なるものが存在するかどうか怪しいのである。

 この番組のキャスターまで「隠れバイデン」という言葉を安易に使うに至っては、何をかいわんやである。