「言動の自由根絶」仏紙非難


公約反故に憤り、住民受け入れへ-英国

 中国の香港国家安全維持法制定に対し、フランスの高級日刊紙、ルモンドは「中国は香港人の愛国心の欠如を問題視」と題し「中国当局は香港の若者が体制に自由に異議を唱える言動を根絶するつもりだ」と報じた。

 マクロン仏大統領は6月初め、同法案に「一国二制度の維持について注意深く見守っている」と中国の習近平国家主席に直接伝え、懸念を表明していた。

 一方、香港の旧宗主国である英国は、中国での同法制定を受け、香港に住む300万人近い「英海外市民」について、移住・市民権付与に道を開くための制度改正に着手する方針を明らかにした。ラーブ外相は、「われわれは深く懸念している」、「これは重大な一歩となるだろう」と述べ、香港からの入国管理制度について「法案がすべて完成したら、さらに声明を発表する」と表明した。

 欧州連合(EU)からの離脱の移行期間にある英国は、香港在住の有能な金融関係者の受け入れに期待感を示すとともに、一国二制度の50年間の維持という英国との国際公約を反故(ほご)にする動きに憤っている。一方、中国側は英国の香港人受け入れの方針に強く反発している。

(パリ安倍雅信)