引きこもりになったような毎日が続く中、…
引きこもりになったような毎日が続く中、武蔵野住まいから見下ろす公園の木々が芽吹いている。早くも新緑が目にまぶしい。黄金週間の祝日の一つ「みどりの日」はまだ先なのに、今年はもう来ているようだ。
東京のサクラ開花はホワイトデーの3月14日で観測史上最速。本社近くの兜町のツツジも今月上旬には緑葉を押しのけ、いっぱいに開いた赤や白の花を突き出していた。これと前後して生け垣のカナメモチも紅(あか)い色に染めた若葉を茂らす。
例年より半月ほど早い季節の流れである。これに爽やかな風が吹けば、小さい頃によく聞いた童謡の世界である。♪緑のそよ風 いい日だね/蝶々(ちょうちょ)もひらひら 豆の花……の「緑のそよ風」(詞・清水かつら、曲・草川信)を懐かしく思い浮かべるご同輩も少なからずおられよう。
気流子の誕生年と同じ昭和23年発表の童謡はNHKラジオで放送され、自然も荒廃した戦後の中で多くの人々が口ずさんできたという。風に色はないから「緑のそよ風」とはどんな風なのか。子供たちにとっては多分、何でも気持ちよくさせる“魔法の風”なのだろう。
もともと緑は新芽を示す言葉であったと言われる。赤ちゃんを「みどり児(ご)」というのも、新芽や若葉のように柔らかな若々しさに由来するという。
新型コロナウイルス禍の中、ひと足早くやって来た新緑の季節。その生命の息吹から癒やしと強いパワーを頂き、この閉塞状況を乗り越えていきたい。