「慰安婦」問題、地方に追悼施設建設へ


「癒やし金」生存者の6割受領

 いわゆる従軍慰安婦問題をめぐり日韓両政府が昨年12月に合意した内容を受けて発足した韓国の「和解・癒やし財団」は、同問題の追悼施設を地方に建設する方針を固め、早ければ23日の理事会で正式に決定し発表する。財団関係者が15日、本紙に明らかにした。

 追悼施設の必要性は財団内で議論が重ねられてきた。敷地は国や地方自治体の所有地が候補地として挙げられており、反日デモや政治集会が頻繁に行われるソウル市内を避け、地方に造られる予定だという。

 施設が完成すれば現在建て替え中の在ソウル日本大使館前に設置されている、慰安婦を象徴する少女像が撤去され、施設内に移転される可能性が出てきそうだ。

 ただ、朴槿恵大統領は国政介入事件の責任を追及され、国会での弾劾可決で職務停止に追い込まれるなど「少女像移転の責任者が事実上不在」(財団関係者)な状態。また実際に撤去となれば、毎週水曜日に少女像を囲んで日韓合意に反対するデモを主催している市民団体の反発は必至だ。

 一方、財団は日本政府から拠出された10億円の使途と関連し、被害者に1人当たり一律1000万円、遺族に一律200万円をいずれも現金で支払う事業を進めている。

 これまでに合意時点での生存者46人(合意後7人死亡)のうち33人が受け取る意思を表明し、28人(約6割)はすでに受け取りを済ませたという。財団は、意思が確認できなかったり、受け取りを拒否している残りの人に対しても引き続き合意や事業の趣旨を説明していく考えだ。遺族への支払いは今後、約1年かけて実施される見通し。

(ソウル上田勇実)