小惑星「リュウグウ」目指す「はやぶさ2」、「衝突装置」で地下物質採取も
1年半滞在、20年末帰還へ
12月3日に地球スイングバイを行い、14日に小惑星「リュウグウ」を目的とする軌道に入ったことが確認された探査機「はやぶさ2」。目指す「リュウグウ」には、いつ到着し、何をするのか。また、どんな小惑星なのか。
はやぶさ2は初代はやぶさと同様、小惑星探査機。火星軌道と木星軌道の間に存在する小惑星を探査するのが目的だ。また、小惑星への到達という工学的な深宇宙往復探査技術の確立をも目指す。初代で実証した技術を継承、発展させ確実なものにするのだ。
はやぶさ2は2014年12月3日に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット26号機で打ち上げられた。それからちょうど1年後の12月3日、地球に最接近し、ハワイ諸島付近の太平洋上空約3090㌔を通過。地球スイングバイによって軌道を約80度曲げ、スピードを秒速約1・6㌔上げて同31・9㌔に。スイングバイ成功が確認された14日時点のスピードは秒速約32・31㌔。スイングバイ後は太陽の重力の影響でさらに加速していくという。
小惑星「リュウグウ」へ到着するのは、2年半後の18年6~7月。ここで1年半ほど滞在して様々な探査活動を行う。そして19年末ごろに出発し、20年末ごろに地球に帰還する予定だ。
はやぶさ2が向かっているリュウグウとは、どんな小惑星なのか。
小惑星には代表的にS型、C型、D型のタイプがあり、太陽系の起源や進化を知るためには、それらの小惑星を調査する必要がある。
はやぶさ2が目指すリュウグウはC型。初代がサンプルを持ち帰った「イトカワ」はS型だが、これに比べてC型のリュウグウはより原始的な天体で、同じ岩石質の小惑星でありながら、有機物や含水鉱物をより多く含んでいると考えられている。
地球をつくっている鉱物や海の水、生命の原材料物質は太陽系の誕生初期には原始太陽系星雲の中で密接な関係を持っていたと考えられており、はやぶさ2はこの原始的な天体であるC型小惑星からサンプルを採取し持ち帰る。これを分析し、太陽系空間にあった有機物や水がどのようなものであったのか、また、どのように相互作用し共存してきたかを探ることで、生命の起源にも迫ることができると期待されている。
このため、はやぶさ2は地表面だけでなく、宇宙風化や熱などの影響をあまり受けていない地下の物質を採取する。初代にはなかった「衝突装置」で人工的にクレーターをつくり、衝突により露出した表面から“新鮮な”地下物質を採取する。世界初の試みだ。また、搭載している小型ローバー「ミネルバ2」と国際協力により独仏から提供された小型着陸機「マスコット」で、表面の詳細な観測を行う。
小惑星という地球から遠く離れた宇宙での着陸・試料採取を確実にするため、探査機自らが考え制御する技術と地上機能(人の総合判断による遠隔操作)を組み合わせた自動・自律システムを、初代の経験を基に発展強化させている。
はやぶさ2の旅はまだ始まったばかり。初代のように、どんな困難が待ち構えているのかは分からないが、20年末の帰還が待ち遠しい。






