公営住宅に移住、孫に囲まれ年越しを


東日本大震災被災者ら3度目の年の瀬

公営住宅に移住、孫に囲まれ年越しを

仮設住宅から災害公営住宅に移り、一緒に年を越す孫たちに囲まれる鳥居孝人さん(右端)=30日、岩手県釜石市

 東日本大震災から3回目の年の瀬を迎えた岩手、宮城、福島の被災3県。東京電力福島第1原発事故後、立ち入りが認められた避難区域の神社は、初詣客を迎える準備に追われた。津波に被災した場所に戻った老舗料理店は、おせち作りがピークに。仮設住宅から災害公営住宅に移り、孫と年越しをする被災者家族の姿もあった。

 福島県南相馬市の避難区域は原発事故後、年末年始に初めて特例宿泊が認められた。区域内にある相馬小高神社は、久しぶりに正月をわが家で過ごす被災者の参拝客を迎える。10人ほどの職員は境内の周囲にのぼりを掲げたり、お札を書いたりした。

 元旦には避難している住民が集まり、3年ぶりに神楽を奉納する。お札の申し込みは事故前の4割程度といい、宮司の相馬胤道さん(75)は「来年は本格的な帰還に向けた年になってほしい」と望みを語った。

 岩手県釜石市花露辺地区の漁師鳥居孝人さん(61)は孫に囲まれにぎやかな年の瀬を迎えた。3世代7人がいた自宅は津波で流され、震災後は妻と2人で市内の仮設住宅で暮らした。今月20日、海の見える高台の災害公営住宅へ入居した。

 「仮設住宅より広くていい」。狭くて置けなかった仏壇も設けた。盛岡市から遊びに来た孫たちに囲まれた鳥居さん。「大きなこたつで、みんなゆったり過ごせる」と笑顔を見せた。孫の義斗君(8)らと一緒に釣った魚が年越しのごちそうだ。