訪日外国人、初の1000万人突破
円安とビザ緩和で、3年遅れの実現
2013年に日本を訪れた外国人(推計値)が20日、政府目標の年間1000万人を初めて突破した。円安で訪日旅行が割安となったことに加えて、所得水準が上がっている東南アジア向けの査証(ビザ)発給要件緩和や航空路線の拡充も追い風となった。太田昭宏国土交通相が発表した。
太田国交相は成田空港で行われた記念式典で、「長年の念願を達成した。日本中で喜び合いたい」と語った。また「東京五輪が開かれる20年に2000万人のめどが立つまで頑張り抜くことが大事だ」と強調した。
1000万人目となったタイの実業家夫婦には記念品が贈られた。夫のパパン・パッタラプラーシットさん(58)は「今年の来日は3回目。(店頭などでの)日本のサービスは世界一だ」と、日本を高く評価した。
1000万人の政府目標は、小泉純一郎首相(当時)が03年に「観光立国」の実現に向けて掲げた。08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災、東京電力福島第1原発事故などで訪日観光が冷え込み、「10年まで」としていた当初目標からは3年遅れた。
12年の世界各国・地域別の外国人訪問者数では、日本(836万人)は依然として33位にとどまる。首位のフランス(8302万人)の1割に過ぎず、23位の韓国(1114万人)にも及ばない。
このため、13年版の観光白書は「日本は『観光後進国』からようやく『観光新興国』になったにすぎない」と指摘する。富士山の世界遺産登録や20年の東京五輪開催などを追い風に、官民一体で訪日客を増やし、「観光先進国」を目指すことになる。