大相撲初場所で琴奨菊が初優勝、戻った出足と馬力


日本勢試練の10年、先代師匠の教え実践

大相撲初場所で琴奨菊が初優勝、戻った出足と馬力

豪栄道(左下)を突き落としで下し、初優勝を決めた琴奨菊=24日、東京・両国国技館

大相撲初場所で琴奨菊が初優勝、戻った出足と馬力

日本相撲協会の八角理事長(右)から賜杯を受け取る琴奨菊=24日、東京・両国国技館

大相撲初場所で琴奨菊が初優勝、戻った出足と馬力

夫・一男さんの遺影を手に、琴奨菊の優勝を喜ぶ祖母の菊次粋子さん(中央)ら=24日、福岡県柳川市

 満身創痍(そうい)となっても31歳の心が折れることはなかった。初優勝を果たした琴奨菊。ここ数年はけがとも闘っていた。

 2011年秋場所後に大関昇進。翌年秋場所で左膝を痛め、13年九州場所では右胸を痛め、筋肉断裂で全治3カ月の重傷を負った。それでもすぐに復活を目指した。

 稽古場に下りられなければ、上がり座敷で下半身を鍛錬。できることから再開した。「全てを受け入れてやらないといけないと思った。以前はけががあるからと逃げている部分があった」

 敬遠気味だった連合稽古でも、少しずつ番数を増やした。治しながら鍛える日々。成果が出るにつれて自信も取り戻した。

 中学、高校時代から逸材と知られた琴奨菊をプロに導いた先代師匠(元横綱琴桜)の「けがは稽古場で治せ」という教えを実践。現師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「それがうちの伝統。しっかり守ったからこそ、今の結果がある」と誇らしそうだ。

 昨年夏に結婚した琴奨菊は「今は孤独じゃない。一緒に戦ってくれるから、余裕もある」と感謝を口にする。そして手にした初賜杯。場所後に控える披露宴を、どんな演出よりも豪華に彩りそうだ。