JR東海、リニア中央新幹線最大の難工事に着手
南アルプストンネルは最難関、山梨県早川町で起工式
JR東海は18日、リニア中央新幹線の建設工事で最も難航が予想される南アルプストンネルに着手した。南アルプスの山岳地帯は「複雑な断層構造で、今まで鉄道や道路の建設を避けてきた」(ゼネコン大手)という難所。日本の建設業界が過去の鉄道・道路のトンネル建設で培った技術を結集し、最難関の工事に挑む。
18日は山梨県早川町で山梨工区の起工式を開催し、JR東海と同工区を担当する大成建設、佐藤工業(東京)、銭高組の関係者らが出席した。
南アルプストンネルは山梨、静岡、長野の3県にまたがる全長約25キロ。通過する山の標高は最高約2600メートルに上る。トンネルにかかる山の重みを軽減するためJR東海は、既存の新幹線より傾斜に強いリニアの特性を活用し、南アルプストンネル内で標高1200メートル付近まで上るルートを設定。それでも地表からトンネルまでの深さは最大約1400メートルに達する。
トンネル工事は不測の事態による工期のずれ込みがつきものだ。上越新幹線は大清水トンネルの工事難航で開業が遅れた。2027年の開業を目指すリニア新幹線の工期は「余裕があるものではない」(柘植社長)といい、南アルプスのトンネル建設が遅れた場合、開業計画に影響が出る可能性がある。