エリザベス女王、英国君主の在位最長記録を更新


63年超でビクトリア女王抜く、89歳でも健康状態良好

エリザベス女王、英国君主の在位最長記録を更新

エリザベス英女王=6月26日、ベルリン(AFP=時事)

 英女王エリザベス2世が9日、ビクトリア女王(在位1837~1901年)を抜き、同国君主の在位最長記録を更新する。在位63年7カ月で、89歳となった今も健康状態は良好。「君臨すれども統治せず」を実践し、第2次大戦後の英国史の大部分を見守ってきた女王の時代は、国民の支持の下、さらに続きそうだ。

 祝賀行事が盛大に行われた2012年の在位60年(ダイヤモンド・ジュビリー)とは異なり、大規模な公式の記念行事は予定されていない。女王は9日、通常の公務として、北部スコットランドで鉄道開通式に出席する。

 最近の世論調査によれば、英史上最も偉大な君主は誰かとの問いに27%がエリザベス女王と回答。13%のエリザベス1世女王(同1558~1603)や12%のビクトリア女王を大きく引き離している。

 大英帝国の最盛期を治めたビクトリア女王は、政治に介入し、向こう見ずな言動も多かった。対照的に、目立つことを好まないエリザベス女王の態度について、王室専門家のリチャード・フィッツウィリアムズ氏は「現実的で思慮深く献身的」と特徴付ける。「女王は英国が得意とするソフトパワー(非軍事的な影響力)の発揮を体現している」との見方だ。

 欧州では最近、オランダ、ベルギー、スペインの女王や国王が高齢などを理由に相次いで退位した。エリザベス女王も高齢のため、チャールズ皇太子(66)らに公務を任せることが増えている。だが、6月に元気な姿でドイツを公式訪問しており、即位の際に「生涯の献身」を誓った女王に生前退位する意向はないとみられている。(ロンドン時事)