戦中の日の丸、70年ぶり京都府舞鶴市に「帰国」


落札の仏男性が遺族と対面、元の持ち主捜す

戦中の日の丸、70年ぶり京都府舞鶴市に「帰国」

約70年ぶりに「帰国」した日の丸を掲げる川崎音次さん(左)とブリス・シャルルさん=14日午前、京都府舞鶴市

 第2次大戦中、出征兵士に贈られたとみられる寄せ書き入りの日の丸が、70年以上の時を経て、フランスから京都府舞鶴市に「帰国」した。元の持ち主に返そうと、関係者は情報を求めている。

 日の丸はパリ在住の行政裁判所司法官ブリス・シャルルさん(56)が、2009年にフランスの競売で落札した。寄せ書きに亡父の名があることを知った京都府亀岡市の川崎音次さん(68)が連絡を取り、2人は14日、舞鶴市で対面。川崎さんは「ここまで来てくれたことに本当に感謝しています」と話した。

 縦66センチ、横80センチの日の丸には「武運長久祈」「海親会」の文字や「高倉神社」(舞鶴市)の印、旗を贈られたとみられる兵士の名前とともに、17人が寄せ書きしている。シャルルさんは「兵士の持ち物が競売に付されるのは失礼」と落札し、11年にも来日するなどして持ち主を捜していた。

 こうした経緯を13年、時事通信がパリ発で配信。海兵として出征し、舞鶴市へ戻ってきた父、吉蔵さんの情報を検索していた川崎さんが、記事と写真をインターネットで見つけ、京都新聞丹波総局に相談。両社の仲介で3月からシャルルさんとメールで連絡を取り合ってきた。

 2人はこの日、旗に書かれた高倉神社を訪れ、清めの神事を行った。シャルルさんは「70年の旅を終えて旗が舞鶴に戻ってきた。願いがかない、心から良かったと思う」と心境を語った。川崎さんは「無事戻せたことでほっとした。旗に書かれた人の中には、舞鶴に帰れなかった人もいるだろうけど、今ごろ喜ばれているかな」と話した。

 日の丸は同神社にいったん預けられ、その後川崎さんとシャルルさんが話し合い、保管先を決めるという。2人は「多くの人が見られる場所に置きたい。名前を目にすることで、関係者が新たに見つかるかも」と期待し、資料館などへの寄贈を検討している。