名古屋場所で白鵬、大先輩の旭天鵬にささげるV
結びの一番で鶴竜の逆転許さず、35度目の優勝
数々の記録を達成し、モチベーションの低下もいわれた。しかし、今場所の白鵬は日が進むにつれて集中力を増した。結びの一番では鶴竜を万全の寄りで退け、逆転優勝というドラマをつくることは許さなかった。
当たって右四つ。鶴竜が左を巻き替えると、間髪入れず巻き替えて左四つに。寄られて俵に足を掛けて残した後は、慌てず胸を合わせて力勝負。強烈にまわしを引きつけて土俵外へ運んだ。
夏場所では攻め急ぎが目立ち、3年ぶりに4敗を喫した。今場所は慎重を肝に銘じたのか、圧倒的な相撲が影を潜めていたが、ここ一番の集中力は健在。連覇を狙った照ノ富士の野望も砕き、「一つの壁になれた」と充実感を漂わせた。
十両に落ちたら引退と公言していた旭天鵬の幕内残留が絶望的となった。優勝インタビューの場では思わず「最後の花道で優勝パレード(の車)に一緒に乗せることができてよかった」と勇み足的な発言をしてしまったが、モンゴルの大先輩にささげる優勝という思いがあったのだろう。
打ち出し後、オープンカーに乗っての優勝パレード。白鵬は旗手を務めてくれた大先輩の手をそっと握って持ち上げ、笑顔で歓声に応えた。