油井亀美也さん、ソユーズロケットで宇宙へ
「理科つながり」の中学友人、小さなブロックに思い込める
国際宇宙ステーションに向け、日本人宇宙飛行士の油井亀美也さん(45)が23日、ソユーズロケットで旅立つ。八ケ岳の麓、長野県川上村の豊かな自然の中で生まれ育った油井さんは、根っからの理科少年。中学校の文集では「僕の夢は学者になること」と宣言し、「教わるのではなく誰も知らなかったことを発見したい。研究に明け暮れて死んでいくなら幸せだ」と熱い思いを記していた。
そんな油井さんと「理科つながり」で仲良くなったのが同級生の由井崇之さん(45)。きっかけは、当時はやっていた電子部品のブロックを組み合わせて回路を作る玩具だった。
2人でよく宇宙の話をした。「コケを生やせば、火星に人が住めるようになるかもしれないとか、いろいろなことを知っていて知識の多さに驚かされた」と由井さん。中学3年になっても校内で追いかけっこをし、「あれが宇宙飛行士になる基礎体力を付けたと信じている」と笑う。
油井さんが宇宙飛行士になった後、「何か記念になるものを」と、思い浮かんだのは電子ブロックの部品、ダイオードだった。今の発光ダイオードと違い、光ることもない地味な部品だが、受け取った油井さんは「懐かしいね」と目を細めたという。
今年1月、川上村で開かれた油井さんの壮行会。あいさつに立った由井さんは「前に贈ったダイオードを覚えているか。君はこれからの人類のため、未来を明るく照らす人だ」と部品に込めた思いを明かした。
「ダイオードと同じように、いつも遊んでいた平凡な友達が、今となっては宇宙飛行士として輝いている。そんな意味を込めたが、たぶんびっくりしたんじゃないか」と由井さん。中学時代のように胸を高鳴らせながら、油井さんが宇宙で輝く瞬間を待つ。