文化庁が「日本遺産」に18件を初めて認定
「四国遍路」や「近世日本の教育遺産群」など観光振興に
文化庁は24日、各地の文化財に物語性を持たせてPRし、地域活性化につなげる「日本遺産」に、「四国遍路」や「近世日本の教育遺産群」など18件を初めて認定した。同庁は1件数千万円の補助金を出してガイド育成や多言語案内板の設置を進め、共通ロゴマークを作成するなどして海外からの観光客獲得を目指す。
日本遺産は、世界遺産や国宝とは違う形で地域の文化財に光を当て、観光振興に活用するのが狙い。歴史的価値や文化的意義を分かりやすく示す「ストーリー」があり、日本の魅力を海外に発信できることなどが基準になる。今回が初の認定で、応募があった83件から18件を選んだ。文化庁は2020年までに100件程度に増やす計画。
四国遍路は四国4県の88カ所霊場と遍路道で構成。地元では世界遺産登録を目指す動きがあり、道が舗装されていることなどが難点とみられているが、日本遺産は巡礼文化として一括で認定した。
教育遺産は栃木県足利市の足利学校や水戸市の藩校・弘道館などから成り、高い教育水準を支えた文化財を4市共同で申請。群馬県桐生市などは、絹産業で女性が活躍したことから上州名物「かかあ天下」が生まれたとして、養蚕農家や織物工場を申請し認定された。
このほか、島根県津和野町は城下町を描いた「百景図」で現代と江戸時代の風景を対比できる珍しさが認められた。京都府宇治市などの「日本茶800年の歴史散歩」は宇治茶の産地や製法、伝統行事などを一体的に登録した。