初出場の宮原知子は気負いなく、快挙の銀
フィギュア世界選手権で、報われた練習の虫
内気なだけに表情は崩れなかったが、宮原は心の中で小躍りしていた。フリーでミスを一つに抑えて滑り切り、SP3位から一つ順位を上げて初出場で銀メダルの快挙。「すぐには実感が湧かなかった」と言って、照れたようにはにかんだ。
中盤の3回転ルッツで着氷が乱れたが、片手をついてこらえた。あとは流れるような好演。連続3回転を外し、ダブルアクセル(2回転半)-3回転トーループを得点が1・1倍になる演技後半に2度組み込み、加点を得た。「確実に高得点を取れるし、絶対に跳べる」。作戦は奏功した。
難しい連続ジャンプを疲れの出る後半に入れられたのは、体力への絶対の自信があったから。148センチと小柄で線も細いが、練習の虫。浜田美栄コーチは「真面目で、手を抜かない。のみ込みが早いわけでも運動能力が高いわけでもないが、辛抱して努力で上がってきた」とたたえた。
主役になると予想されていたロシア、米国勢の一角を崩し、長年にわたって世界をリードしてきた日本女子の誇りを守った。ただ、宮原にそんな気負いはない。「まだ自分の足りないところを見つけた。練習して、そこを良くしていく」。芯の強い17歳が、一気に世界へ躍り出た。(上海時事)