あった、100年所在不明だった北斎の幻の肉筆画


東京都墨田区、「隅田川両岸景色図巻」を一般公開へ

あった、100年所在不明だった北斎の幻の肉筆画

江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎が描いた「隅田川両岸景色図巻」を、2016年度に「すみだ北斎美術館」を開館する東京都墨田区が4日、報道陣に公開した。100年以上所在不明だった幻の肉筆画だ。写真は遊郭・吉原が描かれた部分で、中央の茶色い着物の人物は北斎の自画像の可能性が高い(東京都墨田区提供)

 江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)が描き、100年以上所在不明になっていた肉筆画「隅田川両岸景色図巻」が発見され、東京都墨田区が4日、報道陣に公開した。北斎が隅田川周辺の景色を細密に描いた唯一の作品で、壮年期の風景画・風俗図の傑作とされ、広く注目を集めそうだ。

 同区が寄付金により約1億4900万円で購入する予定で、2016年度に開館する「すみだ北斎美術館」の収蔵品として一般公開する。

 図巻は縦28・5センチ、横633・5センチ。両国橋や吾妻橋を中心とした隅田川両岸の風景に始まる。後半では遊郭・吉原の室内が描写され、北斎の自画像の可能性が高い男性の姿も。巻末には北斎が用いた「画狂人」の印が見られる。