東京マラソン、「ランニングポリス」が初出動
3万6000人が快走、官民1万人以上で警戒
過激派組織「イスラム国」の人質事件やフランスのテロ事件など国際情勢が緊迫する中での東京マラソン。警視庁が初めてコースを走りながら不審者に目を光らせる「ランニングポリス」を出動させるなど、官民合わせて計1万人超が警戒に当たり、厳戒警備が実施された。警視庁などによると、大きなトラブルはなく無事終了した。
ランニングポリスは「POLICE 警視庁」と書かれたベストを着用し、リレー方式で交代しながら箱根駅伝の経験のある警察官を含め64人が伴走。小型カメラを頭に装着し、特殊警棒や催涙スプレーも携帯した。
茨城県の会社員須長君夫さん(54)は「3年前に参加した時より警備が厳重になった」とやや硬い表情。ランニングポリスについては「厳重な警戒のアピールになる」と評価した。沖縄県から参加した男性(46)も「テロの抑止効果があるのでは」と話した。
ランニングポリスを務めた警視庁警備1課の中沢浩警部(43)は「視界が広く、非常に効果的。(沿道の)変化がよく見えた」と語った。
警視庁は今回、警察官計約4500人を投入。沿道で使用する携帯型の金属探知機も昨年より増強したほか、民間の防犯カメラなど約1100台も活用して警備の徹底を図った。
主催者の東京マラソン財団は、警備誘導員を6000人に増員。スタート地点などに設置する金属探知機も60台に増やしたほか、独自に設置する監視カメラも21台に倍増させた。化学テロを警戒し、ペットボトルのコース内への持ち込みを全面禁止にした。
一方、中央区銀座の交差点では機動隊の車両から警察官がマイクで「選手の皆さんがんばって!」「温かい声援をお願いします」と呼び掛ける場面もあった。厳戒警備の中でも、ソフトな雰囲気で大会を盛り上げようとする工夫も見られた。
沿道で応援していた60代女性は「東京マラソンは毎年観戦している。多少警備の人が多いが、大きく変わった印象はない」と話し、観戦を楽しんでいた。