児童が和紙を使った卒業証書の用紙作り


無形遺産「本美濃紙」の里、岐阜県美濃市で

児童が和紙を使った卒業証書の用紙作り

美濃和紙職人(左)の指導を受け、卒業証書用の和紙をすく児童=28日午前、岐阜県美濃市の市立牧谷小学校

 昨年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「本美濃紙」の里、岐阜県美濃市で28日、市立牧谷小の児童が和紙を使った卒業証書の用紙作りを行った。本美濃紙の職人の大部分が同校区内に住んでおり、文化の継承を目的に、統廃合で校名が変わる前の1989年から続いているという。

 1~6年生で、水にさらした原料のコウゾから不純物を取り除く行程などを14日に実施。この日は、6年生18人が職人の指導を受けながら「簀桁(すけた)」という道具などで手すきを行い、別の型枠を使って作った校章をはめ込んで職人が仕上げた。

 証書は文面が印刷された後、3月25日に行われる卒業式で6年生に手渡される。

 用紙をすき終わった太田晴基君(12)は「自分の卒業証書をすくのは緊張した。和紙作りの街に生まれたので、大人になってからもこの経験をいろんな人に伝えたい」と話した。職人で本美濃紙保存会員の長谷川聡さん(50)は「子供たちが和紙作りを一生懸命学んでくれることはありがたい。紙すきを伝えてきたご先祖の苦労も報われると思う」と笑顔を見せた。

 ユネスコは昨年11月、「細川紙」(埼玉県小川町・東秩父村)、「石州半紙」(島根県浜田市)とともに、「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」を無形文化遺産に登録した。