宮原知子が力強く新女王、決断実った逆転劇
全日本フィギュアで、本郷理華は逆転許すも世界切符
一つの重い決断がタイトルを引き寄せた。宮原は難易度が高い冒頭の2連続3回転ジャンプを捨てて臨んだ。
3回転ルッツと3回転トーループの組み合わせは、金妍児(韓国)が得意とする連続ジャンプ。決まれば大きな得点になるが、宮原は回転不足になる試合が続いていた。
NHK杯後に浜田コーチから演技構成の変更を提案され、「何日か悩んだ」という。その代案は、基礎点が1・1倍になる後半のダブルアクセル(2回転半)に3回転をつけるもの。「後半に勢いよくいけるのが自分の強み。それが生かせると思って」。スタミナには自信がある。演技の不安が軽減されたことでリズムが良くなり、147センチの小さな体で次々と安定したジャンプやスピンを決めていった。
表情にも「ミス・サイゴン」の物語の女性のような強さがあった。生真面目な性格。思い切った表現が得意ではない自分を「弱気になったら駄目」と奮い立たせた。技術点だけでなく、課題の演技構成点でもトップの得点を稼ぎ出した。
初めて世界選手権代表切符をつかんでも、言葉は控えめ。「完全に飛び抜けたわけじゃない」。人一倍の努力家は、さらに前へ進もうとしている。