JR東海、リニア中央新幹線に着工
2027年開業へ始動「歴史的な一歩を踏み出した」
JR東海は17日、時速500キロの超高速で走行し、東京(品川)と名古屋を最短40分で結ぶリニア中央新幹線の建設工事に着手した。国内交通網を大きく変える巨大事業が、2027年の開業に向けて動きだした。柘植康英社長は「JR東海にとっても、日本にとっても歴史的な一歩を踏み出した」と述べた。
同社は17日午後、品川駅と名古屋駅の付近で工事安全祈願式を行った。工事は当面、資材置き場整備などの準備作業が中心で、15年度以降にトンネル掘削などの本格的な工事に入る予定だ。
リニア中央新幹線(品川-名古屋)の総延長は286キロで、山梨県内の実験線(42・8キロ)も営業路線の一部に組み込む。全体の86%はトンネル区間で、南アルプスの山岳地帯を貫通する長大なトンネルをはじめ、大都市部での地下40メートルの大深度地下通過など「難しい工事の連続」(山田佳臣会長)となる。
総工事費は5兆5235億円の見込み。リニア単独で採算を合わせるのは困難で、JR東海は「ドル箱」の東海道新幹線との一体経営で利益を確保する方針だ。
リニア新幹線の中間駅は神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市の4カ所に設置される。これらの地域では、東京都心への移動時間が大幅短縮されることを踏まえた街づくりが課題となる。