文化庁、「和紙」を無形文化遺産へ


ユネスコ補助機関が登録を勧告、来月正式に決定

文化庁、「和紙」を無形文化遺産へ

ユネスコの世界無形文化遺産に登録勧告された「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」。(写真は埼玉県の細川紙)(文化庁提供)

 文化庁は28日、政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に提案していた「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」について、事前審査を行うユネスコ補助機関が「登録」を勧告したと発表した。勧告通り認められるのが一般的で、11月24日からパリのユネスコ本部で行われる政府間委員会で正式決定される見通し。

 和紙が無形文化遺産に決まれば、昨年の「和食」に続いて2年連続。同遺産には国内で計22件が登録されている。

 提案書は8世紀から続く伝統的な工芸技術として、原料に「楮(こうぞ)」を用いるなど古来の製法を守る手漉和紙の価値をアピール。島根県浜田市の「石州半紙」、岐阜県美濃市の「本美濃紙」、埼玉県小川町、東秩父村の「細川紙」の3件を申請していた。

 石州半紙は2009年に無形文化遺産に登録されたが、11年に提案した本美濃紙は類似性を指摘され認められなかった。政府は対象を拡張するため、和紙として登録し直すことを提案。職人らでつくる保存会などが国指定重要無形文化財の保持団体に認定され、技術伝承の体制が充実している3件の一括登録をユネスコに求めていた。

 無形文化遺産は世界各地の芸能や祭礼、伝統工芸技術などの保護を目的にしており、13年までに世界で281件が登録された。政府は「京都祇園祭の山鉾(やまぼこ)行事」などを拡張する形で、「博多祇園山笠行事」など国指定重要無形民俗文化財になっている18府県の「山・鉾・屋台行事」32件を一括提案しており、16年に審査される。