アジア大会、柔道の中村美里が日本の金1号


完全復活へ一歩、オール一本で連覇

アジア大会、柔道の中村美里が日本の金1号

柔道女子52キロ級決勝、一本勝ちで優勝を決めた中村美里(上)=20日、韓国・仁川(時事)

アジア大会、柔道の中村美里が日本の金1号

柔道女子52キロ級で優勝し、表彰台で金メダルを手にする中村美里(中央)=20日、韓国・仁川(時事)

 最後は得意の小外刈りで決めた。女子52キロ級の中村が連覇を遂げ、日本に最初の金メダルをもたらした。元世界女王が故障からの再起を期した国際舞台。「すごくうれしい。大きな大会で優勝できて、自信になった」。自然と頬が緩んだ。

 不戦勝ちした1回戦を除き、3試合全て一本勝ち。ババムラトワとの決勝では、1分すぎから攻勢に出た。十分な組み手になると、左足を絡めて粘り強く揺さぶり、相手を背中から畳に落とした。「最初の2戦は納得のいく内容ではなかったが、最後は得意の技が決まってよかった」

 金メダルを有望視されたロンドン五輪で初戦敗退。その年10月には左膝の靱帯(じんたい)を手術し、翌年の講道館杯で優勝。しかし、この試合で膝が悪化し、昨年12月に再手術。「やりたいことができなくて(気持ちが)落ちた」と振り返る。

 不遇のときに、前を向かせてくれたのは、同じリハビリを通じて知り合った他競技の選手たち。自分より厳しい環境で励む姿に刺激を受けた。「自分たちは恵まれている。そういう考えでやらないと」。再起への決意が固まった。

 主要国際大会の優勝は2011年世界選手権以来。「少しずつではあるけれど、自分の柔道が戻ってきていると思う」。リオデジャネイロ五輪での完全復活に向けて、大きな一歩を踏み出した。(時事)