ボーイング社とスペースＸ社を選定

１６日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターで開かれた米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）の記者会見（ＡＦＰ＝時事）

　米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）は１６日、新たな有人宇宙船開発の委託先として、米ボーイング社と米民間宇宙企業スペースＸ社を選んだと発表した。２０１１年のスペースシャトル退役後、米国は有人宇宙船を持たず、国際宇宙ステーション（ＩＳＳ）への人員輸送はロシアに頼ってきた。１７年までの初飛行を目指し、商業ベースで自前の有人宇宙飛行計画を再び本格化させる。

　フロリダ州のケネディ宇宙センターで記者会見したＮＡＳＡのボールデン局長らによると、２社との契約は総額６８億ドル（約７３００億円）。ボーイング社が４２億ドル、スペースＸ社が２６億ドルとなる。ボールデン局長は「（２社の選定により）ＮＡＳＡは有人宇宙飛行の歴史で最も野心的で刺激的となる計画の準備を整えた」と意義を強調した。

　２社は宇宙飛行士をＩＳＳへ安全に運び、無事帰還させる技術の確立でＮＡＳＡの認証を受ける必要がある。それぞれの社が２～６回の飛行を担う。商業ベースであるため、２社はＮＡＳＡ以外の顧客からも宇宙への人員輸送を受注できる。スペースＸは無人宇宙船によるＩＳＳへの物資輸送も請け負っている。

　ＮＡＳＡは数年前から委託先の選定作業など計画を進めてきた。今年に入ってウクライナ介入をめぐり米ロ関係が悪化しており、ボールデン局長は会見で「ロシア依存に終止符を打つ」と繰り返した。（ワシントン時事）