スペイン国王フアン・カルロス1世が退位へ
フェリペ皇太子が継承
スペインのラホイ首相は2日、「民主化の象徴」として国民的な人気を誇った国王フアン・カルロス1世(76)が退位し、フェリペ皇太子(46)が王位を継承すると発表した。スペイン国王の生前退位は異例。カルロス1世は近年、健康上の不安を抱えていたほか、次女クリスティーナ王女の夫の公金横領疑惑など不祥事も浮上。国民の支持も低迷し、退位を余儀なくされた。
国王は2日のテレビ演説で「76歳の誕生日を機に皇太子への王位継承を準備しようと思った。皇太子は新しい時代に国を導く用意ができている」と語り、国民に理解を求めた。
フェリペ皇太子が引き継ぐ新国王の名称は「フェリペ6世」となる見通し。ラホイ首相は新国王の即位に向けた手続きのため、特別閣議を3日に招集。その後、憲法などの改正案を議会に提出する。首相は「王位交代には今が最良の時だと国王は判断された」と強調、議会に対し速やかな承認を求めた。
フェリペ皇太子は、92年のバルセロナ五輪にヨットの選手として出場した経歴も持つ身長1メートル98センチの偉丈夫。カリスマ性にあふれた父とは異なり、控えめなイメージで知られる。スキャンダルとは無縁の人生を歩んできた実直な性格を生かし、失墜した王室の信頼を回復できるかが課題となる。(パリ時事)