小売業界で「脱プラ」加速、フォークの廃止も
新法来月施行、素材切り替えで受け皿となる製紙業界に商機
プラスチック資源循環促進法の施行を4月1日に控え、小売業界で「脱プラ」の動きが加速している。無料配布してきたフォークなどのプラスチック製品を削減するよう求められるコンビニでは、素材の切り替えだけではなく廃止に踏み込む企業も。一方、素材切り替えで、受け皿となる製紙業界は脱プラを商機と捉えている。
ローソンは、穴を開けて小型化したフォークとスプーンを4月から順次導入。セブン-イレブン・ジャパンも植物由来素材を3割配合したフォークなどを採用する。スーパーのライフコーポレーションはスプーンやストローを紙・木製に切り替える。
有料化については、顧客離れを恐れて消極的な企業が多い。ただ、情報通信会社ビッグローブ(東京)の調査では回答者(1000人)のうち65・5%が有料化に賛成した。100%植物由来の原料を採用したフォークなどを1本5円で販売するイオン傘下のスーパー、ビオセボン・ジャポン(同)は「無料だと気軽に使い捨てを続けてしまう。協力して地球環境に優しいお店をつくりたい」と話す。
箸で代用できるフォークなどの配布を廃止する方針のファミリーマートは、10日から都内店舗で実証実験中だ。実験店舗では洗って何度も使うスプーンなどのセット商品を販売している。
素材切り替えの受け皿となる紙製品の開発で盛り上がるのは製紙業界だ。ドトールコーヒー(東京)が持ち帰り用に導入した高密度厚紙マドラーは大王製紙が開発。大王製紙は「環境配慮が求められる時代だからこそ商機がある」と力を込める。
刃物メーカーの貝印(同)が22日に一部コンビニで先行発売した「紙カミソリ」は、紙を組み立てて持ち手を作るユニークな商品だ。国内製紙会社の耐水性に優れる紙を採用し、プラスチックを98%削減した。
江崎グリコは4月から学校給食用の牛乳のストローを廃止する。日本製紙は開け口を開きやすくした紙パックを開発してストローを使わずに飲めるようにした。国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みにつながり、教育面での効果も期待される。