アンネ・フランクの密告者特定の書籍を回収


オランダの出版社の裏切り調査に「根拠薄弱」と批判殺到

アンネ・フランクの密告者特定の書籍を回収

ユダヤ人の少女アンネ・フランク=1942年(AFP時事)

 「アンネの日記」を書いたユダヤ人の少女アンネ・フランクの潜伏先の密告者を特定した書籍が回収される。オランダの出版社が22日、発表した。ずさんな調査が出版直後から批判を浴びていた。

 1月に出版されたカナダ人の作家ローズマリー・サリバン氏の著書「アンネ・フランクへの裏切り」は、アムステルダムのアンネ一家の隠れ家をナチス・ドイツに通報した最も可能性の高い人物として、ユダヤ人の公証人アーノルト・ファンデンベルフ氏を名指しした。米連邦捜査局(FBI)の元捜査官ら研究チームの調査結果に基づいている。

 22日にオランダで発表された歴史家らによる報告書は、この調査結果について「おしなべて根拠薄弱、明白な誤読が幾つもあり、誇張も加えられ、評価対象になり得ない」と厳しく批判した。出版社は「報告書に基づき、直ちに販売中止を決定した」と述べた。(アムステルダム・ロイター時事)