ポーランドのウクライナ支援、主役は一般市民
難民が多数流入、市民に生まれる共感や同情心、邦人も応援
ロシア軍のウクライナ侵攻から17日で3週間となる中、戦禍を免れようと国外に脱出したウクライナ難民が300万人を超えた。うち6割が目指した先が、文化も言語も似ている隣国ポーランド。一般市民が手を差し伸べる様子は、現地に在留する日本人の心も動かしている。
◇ 生まれる共感
「やっとの思いで到着したウクライナ人を助けたくて参加した。少しでも役に立ててうれしい」。ボランティアで難民を支援する20代のポーランド人女性は、オンライン取材に手応えを語った。
ポーランドは、第2次大戦に際しドイツとソ連の侵攻を受けて分割占領され、冷戦時代には共産陣営に組み込まれた。ロシアへの強い反感を背景に、虐げられるウクライナへの共感や同情心が生まれているもようだ。
現地メディアによると、難民であふれる国境の町には、ポーランド各地から有志が集結。食料や薬など支援物資の配布に汗をかいている。もともとポーランドに労働移民として渡っていたウクライナ人も多く、親族や友人を頼る難民に対し、マイカーでの送迎を買って出ることもあるという。
◇ 感嘆と心配
「ポーランド人が一致団結して支援に動き、ウクライナとの連帯を示す姿に胸を打たれた」。2年前にワルシャワに赴任した人材関連企業駐在員の島森浩一郎さん(46)は、活動の広がりを現地で目の当たりにした。
なじみのIT企業が住居100室を確保・提供したり、弁護士や会計士の無償サポート、飲食店の割引サービスを目にしたり。「家族・兄弟みたいなウクライナ人が困っているので、助けたいという気持ちを国、企業、市民が共有し行動している」と感嘆し、自身も寄付の形で応援した。
一方で心配もある。国連によると、ポーランドのウクライナ難民は約180万人。物質的、金銭的に無理が生じれば「同胞のような存在を温かく迎え入れても、市民の心の余裕が失われていくと思う」。島森さんは懸念しながらも、ポーランド社会の奮闘を見守っている。(時事)