ウクライナ南部要衝オデッサ「勝利信じて戦う」


「黒海の真珠」に迫るロシア軍、住民はバリケード築く

ウクライナ南部要衝オデッサ「勝利信じて戦う」

7日、黒海に面したウクライナ南部オデッサの海岸沿いに砂の入った袋を積む人々(AFP時事)

ウクライナ南部要衝オデッサ「勝利信じて戦う」

 ウクライナ南東部を攻めるロシア軍は、黒海沿いに攻勢を強めているもようだ。第3の都市で「次の標的」と言われる南部の要衝オデッサでは緊張が極度に高まっているが、住民は「勝利を信じて戦う」と徹底抗戦の構え。市内にバリケードを築き攻撃に備えている。

 歴史や文化に富み「黒海の真珠」と呼ばれる美しい港湾都市オデッサは、保養地として有名なだけでなく、商船や貨物船が多く寄港する海運の拠点。ここが制圧されればウクライナは海から遮断され、戦略的にも経済的にも甚大な打撃を被ることになる。

 ロシア軍は既にオデッサの東方約200キロにあるヘルソンを制圧。ゼレンスキー大統領は6日の演説で「ロシア軍はオデッサ爆撃を準備している。(文化都市への攻撃は)戦争犯罪であり、歴史上の犯罪となる」と警告した。

 ロシア軍が迫る中、オデッサのトルカノフ市長はSNSなどを通じ「われわれは後退しない。立ち上がって勝利する!」と市民を鼓舞。これに応えるように、人々は砂袋や鉄柵でバリケードを築き、できる限りの防御策を講じている。

 7日、時事通信の電話取材に応じた住民のビクトル・アンティパさん(68)によると、市内は時折警報が鳴るものの現時点では比較的平穏。ただ、店やオフィスは閉まり、人通りは少ない。若者らが食料や医療物資の配給に奔走しているという。

 住民の多くが近隣のモルドバなどに避難する中、アンティパさんはオデッサにとどまるつもりだ。空爆が始まれば自宅の地下室に逃げ込む計画で、水や食料も確保している。「長期戦になる。われわれには(国家存続のため)戦うしか選択肢がない。ロシア軍は強大だが、勝利を信じている」と力を込めた。(ロンドン時事)