米欧、追加制裁でロシア経済を締め出しへ


露は中国に接近し孤立回避、「新冷戦」の様相を見せる

米欧、追加制裁でロシア経済を締め出しへ

24日、ホワイトハウスでの記者会見で、質問を受けるバイデン米大統領(EPA時事)

 米国と欧州連合(EU)が24日に発表した対ロシア追加制裁は、同国経済を国際金融・ビジネスから長期的に締め出すことで、ウクライナに侵攻するプーチン政権の中枢や軍の弱体化を狙ったものだ。一方のロシアは中国との結び付きで孤立回避を図っており、米欧との対立は「新冷戦」の様相を見せている。

 「ウクライナ侵攻はロシアに経済的、戦略的な損害を与える。プーチン(大統領)は、国際社会でのけ者になる」。バイデン大統領は24日の記者会見で、時間はかかるものの「自由は勝利する」と強調した。

 米財務省によると、ロシアの全銀行の資産額の半分以上を占める二大金融機関、ズベルバンクとVTB銀行などを新たに制裁指定。ドル建ての為替取引を禁じた。さらにロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムを含む主要企業の債券や株の取引も規制される。

 また、現代兵器に不可欠な半導体やコンピューターに代表されるハイテク製品が事実上禁輸となる。レモンド米商務長官は「ロシアの軍事力を支える技術の規制へあらゆる手段を使う」と明言した。

 今回の制裁体制の構築には、EU加盟27カ国や日英豪をはじめとする「グローバル経済の半分以上を占める友好国」(バイデン氏)が参加。バイデン政権は危機を受けて、北大西洋条約機構(NATO)圏内に1万人以上の米部隊を増派するなど、かつて米国が冷戦時代に旧ソ連の勢力拡大を防ぐために行った「封じ込め政策」をほうふつさせている。

 ただ、ロシアは旧ソ連と異なり、米国の最大の競争相手である中国との連携を強化している。プーチン氏は、中露関係について「21世紀の国際関係の模範だ」と表現している。

 ボルトン元米大統領補佐官は時事通信の取材に対し、「中国とロシアは同盟ではないが、協力関係にある。西側がロシアのエネルギーを締め出せば、中国が買うかもしれない。これまで直面したことのない問題で、真剣に取り組む必要がある」と警告した。(ワシントン時事)