災害時の家屋被害認定調査、民間が協力へ


内閣府が後押し、担い手確保で被災者の生活再建早期に

災害時の家屋被害認定調査、民間が協力へ

九州北部豪雨を受け、市役所窓口で職員から罹災(りさい)証明書申請の説明を受ける被災者ら=2017年7月11日、福岡県朝倉市

 内閣府は、災害時に住民に発行する罹災(りさい)証明書の作成に必要な市町村の被害認定調査について、不動産鑑定士や保険会社など民間が担う体制づくりを進める。災害対応で不足しがちな調査人員を確保し、証明書の迅速な発行につなげる。被災者の早期の生活再建を後押しする狙いだ。

 罹災証明書は、被災者から申請を受けた市町村が家屋の損害割合などを調査し交付する。被害認定の調査には多くの人手と時間を要するため、大規模災害時には十分な人員が確保できず、発行が遅れるケースがある。

 全国には、民間から専門的な助言を受けるなど、速やかな被害認定に向けて協力体制を整えている自治体がある。内閣府は2022年度、こうした民間による協力や応援に関する実態の把握に乗り出すことにした。

 都道府県や市町村などに、民間団体との協定の締結状況などを聞く。専門的な知見を持つ不動産鑑定士協会や土地家屋調査士会、災害時に損害状況を調べる保険会社といった民間による協力事例を収集。22年度中に分析結果を自治体に示し、民間と自治体が協力しやすい体制づくりを進めてもらう。

 特に保険会社は、被災した契約者への保険金支払いで損害状況を調べることから、協力を得られる可能性がある。三井住友海上火災保険は昨年8月、千葉県市原、大阪府枚方両市と協定を締結。同社の損害調査結果を提供し、市の被害認定調査を効率化する。