ミャンマー国軍空爆、「まるで4D映画」
日本が支援、KNU支配の村も打撃、2万5000人が避難
ミャンマー国軍はクーデターから1年が経過しても、抵抗する民主派や少数民族武装勢力に対する攻撃を緩めていない。日本が官民一体となって住宅建設や自立支援を進めた村も空爆され、大きな打撃を受けている。
少数民族武装勢力のカレン民族同盟(KNU)が支配していた東部カイン州レイケイコー村では、長期間続いた国軍との戦闘の被害からの復興を目指し、日本の政府と民間団体が協力して住宅や学校、医療施設を建設。また、住民に職業訓練を施していた。
ところが、国軍は昨年12月中旬、レイケイコーへの攻撃を開始。平和だった村は一転、戦場と化した。KNUの国際部門責任者ソートーニー氏は「民主派の活動家がかくまわれていたからという国軍の説明は本当の理由ではない。国軍の最大の標的であるKNUを壊滅するためだ」と強調した。日本の支援で建てられた住宅も大きな被害を受け、住民約2万5000人が避難したという。
レイケイコーからタイ北西部メソトに逃れた男性(28)によると、国軍は攻撃開始後に村を包囲した。男性は兵士が民主派議員を家から引きずり出し、ひざまずかせて顔を殴る場面を目撃。「もはや安全ではない」。そう感じた男性は、村を後にして国境を越えた。
「4Dシアターで戦争映画を見ているようだった」。レイケイコーを望むメソトの高台で軽食店を営む女性(56)は、国軍による攻撃の様子を生々しく語った。砲撃や空爆の衝撃で店は大きく揺れた。KNUの反撃で国軍ヘリコプター2機が墜落するのが見えた。
国境から500メートルの地点にあるメコンケン小中学校の女性教師(42)は「大きな爆発音と銃撃音が聞こえた。とても怖かった」と振り返った。学校敷地内には誤爆や流れ弾による被害を避けるため、大きな土管に土をかぶせた簡易防空壕(ごう)を備えている。教職員と児童・生徒計約300人全員を収容できる大きさで、防空壕を使った避難訓練を定期的に行っている。(バンコク時事)