米家電見本市、健康・医療機器が存在感
コロナで商機、翻訳機能付きの「スマートマスク」が人気
米ネバダ州ラスベガスで開かれた家電・IT見本市CES(5~7日開催)では、新型コロナウイルスの世界的流行を反映し、健康・医療関連の機器やサービスの展示が存在感を示した。出展各社は、コロナ禍で進むデジタル化や健康意識の高まりを商機につなげようと意気込む。
日本のロボットベンチャー、ドーナッツロボティクス(東京)は、マスクの上から着用する「スマートマスク」を展示した。着用者の声が、10メートル離れた相手のスマートフォンを通じて聞こえるほか、画面上に文字でも表示され、社会的距離を保ちながら会話をするのに役立つという。翻訳機能も備え、価格は5000円程度。日本では昨年の発売以降、約6000枚を売り上げた。小野泰助最高経営責任者(CEO)は「日本より米国のほうが翻訳需要が強い」と話し、米国での販売に期待感を示した。
中国の新興ロボット企業ユービーテック・ロボティクスは、室内を移動しながら空気中のウイルスを紫外線で殺菌するロボットを売り込む。
コロナ禍で対面活動を避ける動きが広がり、遠隔診療などITを活用した医療への需要が高まった。オムロンヘルスケア(京都府向日市)は、高血圧患者向け遠隔診療サービスを米国で2020年から展開。CESでは、サービスの利用開始から1カ月後に約4割の患者の血圧値が改善したとの調査結果を公表した。成果を踏まえ、事業拡大に弾みをつけたい考えだ。
6日の基調講演で登壇した米医療機器大手アボット・ラボラトリーズのロバート・フォードCEOは「健康の大切さや健康関連技術の価値が高まっていることが、コロナ禍で浮き彫りになった」と指摘した。(ニューヨーク時事)