元ブラジル代表ジーコさん、鹿島で一区切り
「宝物」のセリカは今も母国に、「日本の活躍を祈る」
サッカー元ブラジル代表のジーコさん(68)が、J1鹿島のテクニカルディレクターを今季限りで勇退した。体調問題もあり、今後は母国から支援するという。
代表監督も務めた日本との深い縁は、40年前にさかのぼる。1981年に東京・国立競技場で行われたトヨタカップ。ジーコさんはフラメンゴ(ブラジル)のエースとして来日し、リバプール(イングランド)に3-0で快勝。2アシストを含め全得点に絡む活躍で最優秀選手に輝いた。
その副賞で贈られたトヨタのセリカは、今も母国で大切に保管されている。当時のブラジルの輸入規制を乗り越えて輸送された経緯もあり、愛車は日本と自身をつなぐ宝物。「今もすてきな思い出」と実感を込める。
ジーコさんはJリーグが始まる前の91年に鹿島の前身、住友金属入り。選手、指導者として日本サッカー界に与えた影響は計り知れないが、ブラジルの英雄は「日本に遺産を残せたならうれしいと思っている」と謙虚に言った。
ブラジル路線でJリーグを代表する名門となった鹿島は来季、初めて欧州出身の監督を招聘(しょうへい)。ジーコさんにとってはクラブの転換期での離日となった。今年9月、「日本でこんなに長く過ごすとは想像もしていなかった。日本の活躍を祈っている」と話していた。地球の裏側にいても、「第二の故郷」への思いは変わらない。