アフガン農家を支援、ドライフルーツ輸入に奮闘
在日アフガン人「文化破壊させぬ」、イベント開催しPR
イスラム主義組織タリバンが8月に実権を握ったアフガニスタンの農家を支援しようと、日本で輸入事業や文化イベントに取り組む会社がある。千葉県松戸市のアフガンサフラン社。立ち上げたのは来日12年となるアフガン人男性だ。
イチジクにアンズ、色とりどりのレーズン。豊富なアフガンのドライフルーツやナッツが看板商品だ。開発途上国から適正な価格で物品を購入する「フェアトレード」で農村に安定した収入をもたらし、女性の雇用を支援する狙いもある。
代表のアシュラフ・バブリさん(39)は、これら商品の輸入・販売に奮闘する。タリバンが極端なイスラム法解釈を行う中で「アフガン文化をタリバンに破壊させたくない」との思いから、11月に東京都内で伝統料理や音楽を紹介するイベントも開催し、ドライフルーツのPRを行った。
ただ、現地で問題も起きている。隣国パキスタンとの関係悪化から、ドライフルーツのコンテナが国境で止められ、輸出が困難に。バブリさんの妻、愛さん(33)は「別の輸送ルートを模索している」と話すが、輸送費は2倍以上に跳ね上がる見込みという。
今回のイベントを支えた会社経営、比嘉良放さん(37)は、タリバン復権の報道を見て、「貿易事業で貢献できるのでは」と考え、販売への協力を開始。バブリさんからは「タリバンに外国勢力と結託していると見なされるため、現地の農家は命懸けで輸出している」とも聞いたという。「毎年買ってもらえる方が農家の生活が安定するため、しっかりした形で支援したい」と意気込む。
「子供が料理を気に入り、親しみを感じた。音楽も日本の歌謡曲に似ている」。家族4人でイベントに参加した千葉県の会社員、速水友紀さん(45)はアフガン文化を身近に感じた様子だった。(時事)