ラオス鉄道が開通、中国の「債務のわな」懸念も
初の本格的な鉄道、首都ビエンチャンから中国雲南省に
東南アジア唯一の内陸国であるラオスで3日、初めてとなる本格的な鉄道が開通する。鉄道は中国雲南省昆明につながり、「内陸国から連結国へ」というラオスの夢の実現に前進する。しかし、事業費の多くを中国に依存しており、「債務のわな」に陥る危険性も指摘される。
鉄道はタイとの国境に近い首都ビエンチャンと対中国国境沿いのボーテンを結ぶ約420キロ。山岳地帯が多いため、約200キロが75カ所あるトンネル部分となる。
ラオス国旗の模様を施した旅客列車は食堂車付きの9両編成で定員は720人。最高時速160キロで、陸路で1日以上かかるビエンチャン~ボーテン間が3時間強に短縮される。同区間の運賃は一等車が52万9000キップ(約5500円)、二等車が33万3000キップ(約3500円)。
鉄道開通により、ラオスは中国人観光客の増加や中国への農産物の輸出増加を見込む。一方、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として重視し、2016年12月に始まった建設の総事業費約60億ドル(約6800億円)のうち、6割を中国輸出入銀行が融資。3日の開通式には習近平国家主席がオンラインで参加する熱の入れようだ。
ビエンチャンから昆明までは約1030キロ。新型コロナウイルスの感染が続いているため、4日に始まる一般運行はラオス国内にとどめ、10カ所の旅客駅のうち、運用するのは当面、ビエンチャンとボーテン、古都ルアンプラバンなど計6駅に限定する。(バンコク時事)